特集

【リレー連載】vol.15 竹内万貴さん(スタイリスト)前編

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2017.06.09

家の中でも特にキッチンには、暮らす人の趣向、工夫、そして物語がつまっているように思います。
使いやすいようにどんな工夫をしているの?
どんなふうに過ごして、どんなごはんを食べているの?
いろいろなキッチンをリレー形式でめぐり、暮らす人の「作って食べる」に隠れた物語をうかがいます。

 

vol.15 竹内万貴さん(スタイリスト)

料理家の瀬戸口しおりさんが紹介してくれたのは、スタイリストとして、器の提案や料理のスタイリングをする竹内万貴さん。竹内さんの住まいは、武蔵野の住宅街にある古いビル。階段を上っていくと、赤や緑、水色で塗られたカラフルな壁とドアが現れます。最上階が竹内さんの自宅です。

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A.「日当たりも風通しもいいので、ふきんもよく乾きます」。日当たりのいいキッチンには、スポンジ、洗剤、鳥のオブジェなど、黄色のものがいろいろ。

B.キッチンの一角にお風呂場がある珍しいつくり。「シャワーの設備が古くて、水がもれるんですが、今は見かけない太い蛇口が気に入り『まあ、いいか』とそのまま使っています」


「物件探しで隣りの建物を見に来たときに、このビルを見つけて『ここいいかもしれない』とピンときて。看板にあった不動産屋に連絡したんです。ちょうど部屋がガラ空きの状態で、その日に内見しました。夕焼け空がとてもきれいで、風がよく通る。その場でこの部屋に決めました」
 33平米、キッチンとひと部屋だけというコンパクトな住まい。入居したときのまま何も変えていないというキッチンは、背面に洗濯機とお風呂場があるというちょっと変わった間取り。明るい日がさしこみ、そばの小学校からの子どもたちの声、騒がしいほどの鳥のさえずりが聞こえてきます。
「ここは、いろんな鳥が遊びに来るんです。屋上やベランダ、隣の畑に生えている木にも。窓に飾った黄色い鳥のオブジェは、友人が遊びに来たときに『西側に黄色のものを置くといいよ』と言われて。吉祥寺の『東京ガラクタ研究所』でぴったりのものを見つけました。これ、見えない部分は色を塗っていないから白いの(笑)。無駄なところは塗らない、この感覚がおもしろいですよね。JAPANって彫ってあるから日本製です」


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C.「近所の花屋をのぞいて、好みの花があれば1本だけ買います」この日はりんどうを。

D.最近新たに迎えた食器棚は、実家でずっと保管してあったもの。「3段あるうちの2段を入れました。前に使っていた棚は戸のないタイプでしたが、友人がもらってくれました」

E.器同士がぶつかって、ふちが欠けたり、音を立てたりしないように、器の間に新聞紙をはさんで収納している。「ひんぱんに使わない片口や茶碗はふきんに包んで」

F.キッチンの食器棚は、取り出しやすいオープンタイプ。皿類を中心に置いてある。


 竹内さんがスタイリストになったのは、料理家の高山なおみさんや瀬戸口しおりさんのアシスタントがきっかけ。大学卒業後、会社員として働いていたものの、「器に関わる仕事がしたい」と思い退職、三重のギャラリー「而今禾」(じこんか)で働き始めます。「而今禾」が東京店を出すことになり、竹内さんは東京へ。
「仕入れや展示の企画にも携わるようになり、器をお客さんに渡すだけでなく、『器を使って見せたい』という気持ちが強まってきました。そんなとき、実家の家業である仏具店の手伝いをすることになり、じゃあ、器の仕事と家業の手伝いを半々ぐらいにしようかなと始めてみました。当然すぐにスタイリストの仕事依頼は来ないんですが、友人を介して会った高山さんや瀬戸口さんのアシスタントをし始めました。それが数年続いて、『じゃあスタイリングもやってみる?』と声をかけてくれるように」
 初めてアシスタントをしたときに、高山さんが私の皿洗いを褒めてくれたんです。私、皿洗いには自信があるんですよ。いかに手早く洗って、水切りかごにきれいにふせていくか。皿洗いを褒めてもらったことが自信になり、今でも声がかかればアシスタントさせてもらっています」


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G.棚の上には、お茶まわりのアイテムが。「普段よく飲むのは、えんめい茶。今ちょうど買い置きしてあるコーヒーは『EAST END WHITE〜coffee〜』のもの」

H.吉祥寺『東京ガラクタ研究所』で購入した鳥のオブジェは、キッチンの西の窓ぎわに置いてある。

I.シンク下には、調味料や油などを収納。「新聞紙を下に敷いて、汚れたら気軽に取り替えられるようにしています」

J.コンロの奥に立ててある菜ばしと木べら。「2本ずつあれば、使った後も洗わずに次の作業ができるので便利」

K.武蔵野の町や大きな空が見える自慢のベランダ。椅子は高円寺「新しい人」で購入。

L.隣の家の家庭菜園や木のおかげで、鳥がたくさんやってくる。「バードウォッチングが1日に何回も楽しめますよ」


 キッチンと居室にある3つの食器棚には、ところ狭しと器が並びます。キッチンの食器棚には皿類を、居室の食器棚には、グラスなどの飲み物系、取り分け用の鉢や皿系を、と分けられています。「季節ごとに使いたい器が変わるんですよね」と竹内さん。
「普通は、食べたいと思う食べ物から季節の変化がわかると思うんですけど、私は使いたい器、手に取る器から気づくことが多いんです。飴釉の器は好きですが、夏は使わない。それを手に取りたくなると、秋の入り口を感じる。染め付けの器も、生地の薄い、色が淡めのものは夏。生地が厚くて青が濃いものは、寒くなってきた秋や冬。もちろん、通年で使うものもあるんですけど。20代の頃は、器を探して旅に出ることもあったけれど、最近は散歩の途中に見つけたような、偶然出合ったものに惹かれます」。
 竹内さんのキッチンは、こざっぱり、必要最小限の道具が見えるところに置いてあります。「引っ越して取り付けたのは、ステンレスのバーとフックだけ。フックに掛かっている、はさみ、大さじ、小さじ、皮引き、おろし、茶こし……この道具だけで、だいたいの料理は作れちゃうんです。むつかしい料理は作らないんですよ。加熱料理も、木べら2本、菜ばし2本、竹串1本あれば十分。コンロやシンクは『毎晩洗って、水滴も残さず』なんてストイックな感じでなく、汚れてきたから掃除しようかなというスタンス。もともとの傷や汚れはあまり気にしません」
ゴミは、洗濯機に強力マグネットクリップでとめたビニール袋へ。ゴミ箱を置かずにビニール袋を使うのも、「場所がないので苦肉の策」と笑います。


愛用の道具は後編へ


取材・文 武田由紀子
写真 萬田康文

 

▼これまでのキッチンリレーはこちらから

Vol.1 福田春美さん(ブランディングディレクター)
Vol.2 栗又貴美さん(「ジーペンクォー」デザイナー)
Vol.3 白尾可奈子さん(イラストレーター)
vol.4 カワナカユカリさん(イラストレーター)
vol.5 シラス・ヴィダールさん(エディトリアルデザイナー)
vol.6 森清美さん(服飾作家)
vol.7 西野優さん(ピリカタント主催)
vol.8 おおたはらみほこさん(スペシャルティコーヒー店経営)
vol.9 滝口和代さん(ネストローブプレス)
vol.10 岡本典子さん(花生師)
vol.11 良原リエさん(音楽家)
vol.12 たかはしてるみさん(八百屋「warmerwarmer」)
vol.13 北川桂さん(「北川ベーカリー」主宰)
vol.14 瀬戸口しおりさん(料理家)

 

Writer's Profile
竹内万貴 Maki Takeuchi

大学卒業後、新聞社勤務を経て、ギャラリー「而今禾」にて現代作家および骨董の器の販売、仕入れ、企画に携わる。
現在は独立し、要望に合わせた器の提案、料理に関わるスタイリングを行う。


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