特集

【リレー連載】vol.17 小林理海子さん(出版社勤務)前編

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2017.11.10

家の中でも特にキッチンには、暮らす人の趣向、工夫、そして物語がつまっているように思います。
使いやすいようにどんな工夫をしているの?
どんなふうに過ごして、どんなごはんを食べているの?
いろいろなキッチンをリレー形式でめぐり、暮らす人の「作って食べる」に隠れた物語をうかがいます。

台東区にある服と小物の店「フーコ」。その店主である森下富美子さんから、リレーのバトンがつながったのは、出版社で編集者として働く小林理海子さん。
下町の3階建ての古いビルを1棟買い取って最上階で暮らす小林さんのDIY精神にあふれたキッチンを見せていただきました。

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A.  玄関を入って右手が寝室。左手のドアを開けると通路をかねたキッチン、リビング、和室という間取り。リビングのテレビを置いた棚も友人の大工さんが造ってくれた。

B.  友人一同からの「新居祝い」というキッチンの棚。幅135、高さ250、奥行き40cmと建物のサイズと持っているものにぴったり合わせた棚なので、使い勝手は文句なし。

C.  「嫌な感じにリフォームされていた」というキッチン。シルバーのキッチンを自ら白くペイントし、壁にはタイルを貼った。

D.  「小さいけれどキッチンに窓があって嬉しいんです」。キッチンクロスをカーテン代わりに。周囲がほとんど2階建てなので、眺めがよくて気持ちいいとか。


 懐かしい雰囲気の銭湯やかき氷の旗を立てたたこ焼き屋さんが軒を並べる、小さな商店街。その一角に、小林さんが暮らすビルはありました。
1階はどうやら飲食店。テナントビルのようなたたずまいに、本当にここが住居なのか!?と、周囲をぐるぐるまわっていると、裏手に「KOBAYASHI」と書かれた表札と1枚のドア。そして、インターフォンが2つ。3階と書かれたボタンを押すと、「はーい!ドアを開けて3階まで上がって来てください」との声が。
 3階まで上がると、小林さんが3歳の息子・緑丸くんとともに迎えてくれました。外から見ていると、まず住宅だと思わない外観。築30年だというビルは、それほど下町の商店街の雰囲気になじんでいます。
「わかりにくかったでしょう! 2年前に、この立地と雰囲気がおもしろいなあ、と思って買ったんです」
 このビルは、1階が飲食店用のテナントと、ワンルームの賃貸住居。2階、3階がそれぞれ70平米ほどの賃貸住居。そして、屋上というつくり。
「1階は元飲食店で、今はBBQ場やイベント運営会社をしている夫の事務所兼倉庫なんです。2階には、夫のお兄さん、私たちは家族3人で3階に住んでいるんです」 ※取材後、1階のワンルームには夫のお兄さんが引越し、2階には友人夫婦が近々引越してくる予定に。
 そういえば、3階に上がる階段の途中で2階の玄関のドアが開いていて、ちらっと見えたその部屋にはぎっしりとコミックや本が詰まった本棚があり、ここはいったい誰の家? と私たち取材チームは不思議に思いながら上がって来たのでした。よくよく聞くと、お風呂は2階にしかなく、お兄さんと共有とか。なんて楽しそうな暮らし方! まるで、ニュータイプのファミリードラマのよう。
 
「夫の友人が大工さんで、“新居祝いに”ってこれを造ってくれたんです」
 なんとその新居祝いとは、キッチンの壁一面に取りつけられた棚。
コンパクトなキッチンで収納が少ない、と話していた小林さんのために友人一同が材料費、工賃を出してくれたのだそう。

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E.  手持ちの食器のサイズに合わせて、棚のピッチも調整してもらった。

F, G. 作業台の上にはものを置きたくないタイプ。なので、棚に調味料やカトラリーなどを置けるように、ステンレスのバットやトレイに調味料をまとめたり、IKEA のフックを吊るしたりひと工夫。


 なんともうらやましい新居祝い。高さ2.5mの天井高がフルに使えるように下から上までいっぱいに造ってもらい、上部は食器棚に、真ん中は作業台に、下部は電子レンジや炊飯器などの家電置き場、食材のストック置き場にできるよう奥行きも変えるという、かゆい所に手が届く設計。
 さらには、同じツーバイフォーの木材でリビングのテレビを置くための棚、ダイニングテーブルも造ってもらったので、家全体に統一感が生まれました。
「もともとこのビル全体がしっかりリフォームされていて、こぎれいすぎたんです。それがあまり好きでなくって。木で棚を造ってもらったことや、自分でキッチンやドアをペイントしたり、タイルを貼ったことで自分たちの暮らし方になじんだと思います」

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H.  リビングの天井にはフィンランドの伝統的な装飾、ヒンメリと多肉植物。窓辺にはビンに入れたドライフラワーを飾るなど、子どもの手が届かない場所でインテリアを楽しむ。

I.   3歳の緑丸くん。朝保育園までの送りはご主人の担当。お迎えは小林さんの担当。「近所の大型スーパーに併設のスイミングスクールがあって、そこに通っているんです。息子が泳いでいる間、私は買い物をするという(笑)」


 出版社で編集者として働く小林さんは、雑誌『暮しの手帖』を担当しています。クラリネ読者ならきっとご存知の、元祖「暮らしを大切にする」雑誌。
手芸や料理の記事を担当することが多いという小林さん、さぞかしマメに暮らしているかと思いきや……。
「いえいえ、取材を通じて知識だけはありますが、今、息子が3歳。9時15分から17時30分までのフルタイム勤務なので、毎日ばたばたです(笑)」
 少しでもご飯作りがラクになるように、と以前は常備菜を作り置きしたこともあったけれど意外に食べないことがわかり、今では、野菜は皮をむいて食べやすいサイズに切っておく、味をつけて凍らせておく、くらいの簡単な半調理がちょうどいいとか。取材を通じて知った“簡単ですぐにできるのにおいしい”レシピを再現することもしばしば。
「上田淳子さんのニンジンとニラのチヂミは簡単でおいしくて、野菜をあまり食べない息子もよく食べてくれます。 息子を迎えに行って帰宅した19時半くらいからごはんを作って20時には食べるので、独身時代にはわからなかった“早くておいしいレシピ”の大切さがわかるようになりました」

 編集者として母として、たくましく暮らす小林さん。
もの選びの目線も少し変わったようで、その様子は後編で。

後編へ

 

取材・文 高橋 紡
写真 宮濱祐美子

 

▼これまでのキッチンリレーはこちらから

Vol.1 福田春美さん(ブランディングディレクター)
Vol.2 栗又貴美さん(「ジーペンクォー」デザイナー)
Vol.3 白尾可奈子さん(イラストレーター)
vol.4 カワナカユカリさん(イラストレーター)
vol.5 シラス・ヴィダールさん(エディトリアルデザイナー)
vol.6 森清美さん(服飾作家)
vol.7 西野優さん(ピリカタント主催)
vol.8 おおたはらみほこさん(スペシャルティコーヒー店経営)
vol.9 滝口和代さん(ネストローブプレス)
vol.10 岡本典子さん(花生師)
vol.11 良原リエさん(音楽家)
vol.12 たかはしてるみさん(八百屋「warmerwarmer」)
vol.13 北川桂さん(「北川ベーカリー」主宰)
vol.14 瀬戸口しおりさん(料理家)
vol.15 竹内万貴さん(スタイリスト)
vol.16 森下富美子さん(フーコ店主)

 

Writer's Profile
小林理海子 Rikako Kobayashi

愛知県出身。出版社の営業、広報、エコロジカルなライフスタイルを提案する雑誌の編集アシスタントを経て暮しの手帖社に入社。『暮しの手帖』では、手芸、料理の企画を担当する。


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