この秋出かけたい! 体にやさしい焼き菓子店 Vol.2  Dragon Michiko(吉祥寺)

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2018.11.02

「おいしい」と思うとき、そこにはきっと理由がある、はず。
食べる人のことを思った体にうれしい料理、作り手の信念を感じる料理や素材、心も温まるストーリーのある料理……。
そんな「おいしい」の正体を探して、食に思いを込めているお店や料理家さん、食のスペシャリストを訪ねて回ります。

「焼き菓子の季節の到来!」ということで、前回に続き素材にこだわった、体が喜ぶ焼き菓子店の特集です。

「食べることが大好き、でも甘いものは苦手」という友人が、「私でもおいしい!」と絶賛していたので、「一体どうして?」とぜひ行ってみたいと思っていたのが、今回ご紹介するお店です。それは、今年1月にオープンした吉祥寺のヴィーガンスイーツ店、その名も「Dragon Michiko(ドラゴンミチコ)」。

 店のHPを見ると、「20代の時にvegan(ヴィーガン)のお菓子と出会うもすごく美味しく無いことに驚く。以来、美味しいveganのお菓子作りを独学で学ぶ」という店主のクスリと笑える経歴があり、ますます興味がわきました。


卵やバターなしでもこんなにおいしいなんて!

吉祥寺駅から歩くこと7分ほど、赤いテントと愛嬌たっぷりのドラゴンが描かれた看板が目印のお店です。店に入ると出迎えてくれたのは、龍のようにたくましい、ではなくほっこりとかわいらしい店主、山口道子(やまぐちみちこ)さん。


木製ショーケースにはマフィンやタルトがずらり。種類豊富なマフィンは、お店の一番人気です。


ゆったりとテーブルが配された、寛げるカフェスペース。


お客さんと和やかにお話しされている姿が印象的な山口さん。店には地元の人のほかに、SNSを通して知った遠方からのお客さんも多い。


そもそもヴィーガンのお菓子とはどういうものなのか尋ねると、

「卵やバターなどの乳製品、蜂蜜も含め動物性の食材は使わず、植物性のものだけで作るお菓子です。それに、白砂糖は体に負担がかかるので、うちではてんさい糖やオーガニックのメープルシロップで甘みをつけていますよ」と山口さん。

早速いただいてみると、「本当に卵やバターを使っていないの?」と驚くほど、風味豊かで満足感もしっかり。それでいて、卵やバター、白砂糖たっぷりのお菓子とは違って、軽さがあり食べた後も体がすっきりしているように感じます。


定番のイチゴのマフィンは、有機イチゴを使ったフレッシュな自家製ジャムが中にたっぷり。落花生とチョコのマフィン(季節限定)は、茹でた落花生(おおまさりという甘みの強い大粒の品種)とヴィーガン仕様の小粒チョコ入り。どちらも、控えめな甘さが心地いい。


リンゴのクランブルのタルト(季節限定)には、シナモン、てんさい糖、太白オイルでソテーしたリンゴがたっぷりと。


ウィークエンドは、有機レモンのすりおろしが入った生地に、てんさい糖のアイシングがやさしい甘みを添えています。


バターや卵なしで、どうしてこんな豊かなコクが出るのでしょうか。

「乳製品や卵を使わないと物足りなくなるのではと思う方も多いですが、たとえばマフィンは有機ココナッツミルクを、ウィークエンドはアーモンドプードルを加えることで、風味を補っています」と、その秘密を教えてくれました。

さらに、ドラゴンミチコのお菓子は、素材の味が生き生きとしているのも特徴。粉の風味はもちろん、厳選した果物やナッツなど、素材の持つ力強い味わいを口いっぱいに感じられ、まさに至福の境地です。


探求心から始まったお菓子作りが、いつしか夢を叶えるまで

 聞いてみるとヴィーガン志向ではない山口さん。では、どうしてヴィーガンスイーツに興味を持ったのでしょうか。

「独り立ちして実家を出た後の話ですが、セラピストをやっている母が、ある時突然ヴィーガンやってみようかなと言い始めて。そしてしばらくすると、母が“始めてはみたもののヴィーガンのお菓子って少ないのよ”と嘆いていたんです。それを聞いたら気になって」

その頃、仕事でカフェのお菓子担当をしていた山口さん。早速、ヴィーガンのレシピ本を買ってきて作ってみたものの、一般のお菓子とはかけ離れたものになってしまうことに驚きます。仕事柄レシピ通りに作ることには慣れているのに「一体なぜ?」と、そこからヴィーガンスイーツの研究にのめりこむようになりました。

「いい素材を揃えて作っておいしくないということは、レシピに問題があるはず。“どうしたらおいしくなるの?”という単純な思いです。ただの探求心で、誰かのためとかではなくて(笑)。“もっとおいしくするにはどうすれば?”の連続でした」


茶目っ気たっぷりのドラゴンのイラストは、山口さんのお知り合いの絵本作家、大森裕子さんによるもの。


自家製の渋皮栗を使った栗のケーキ(季節限定)は、しっとりした生地と栗の自然な甘みが調和。


店名は知り合いからつけてもらった名前なのだとか。「ドラゴンはパワフルでスピリチュアルなイメージ。うちのお菓子を食べて元気になってほしいということかなと解釈しています」


手土産にぴったりなクッキーも。定番の「アーモンド」と「チョコレート」は、から焼きしたアーモンド入りで香り豊か。季節限定でスノーボールやグラノーラクッキーも。


そうして試行錯誤しながらのお菓子作りを続けるうちに、ヴィーガン志向のヨガの先生やセラピスト、アレルギーの子どもを持つママなど、食事に気づかう人がまわりに多く、お菓子を作ってと頼まれることが増えていったそう。そんな人たちに、作ったお菓子をとても喜んでもらえて、それが嬉しかったといいます。

それまでは自分のカフェを持つことを漠然と夢みていた山口さん。そこで、自分のお菓子が実際にどのくらい受け入れてもらえるのか興味がわき、ヴィーガンカフェで働いて自分のお菓子を出してみることに。
「ヴィーガンではないお客さんからもほめてもらえることが多くて。ヴィーガンのお菓子でもおいしければ誰にでも喜んでもらえるんだとわかって、ヴィーガンスイーツのお店をやろうと決意しました」

そこから3年ほどの準備期間を経てお店を開店。今では、どんな思いでお菓子作りにむかわれているのでしょうか。
「私が目指しているのは、ヴィーガンの人やアレルギーの人、そうでない人も、みんなで一緒に食べて楽しんでもらえるお菓子です。ヴィーガンのお菓子はまだまだ認知度が低く、ヘルシーだけどおいしくないというイメージを持っている方も多い。精一杯おいしいお菓子を作ることで、そんなイメージを変えられたら嬉しいです」

探求心から始まったヴィーガンのお菓子作り。それが、食事制限のある人だけでなく、そうじゃない何でも食べられる人まで広く受け入れてもらえた喜びを原動力に、夢を達成した山口さん。体に自然でやさしいお菓子で、これからもたくさんの人を幸せにしていってほしいと思います。

 

この秋出かけたい! 体にやさしい焼き菓子店 Vol.1はこちら

この秋出かけたい! 体にやさしい焼き菓子店 Vol.3はこちら

 

Dragon Michiko(ドラゴンミチコ)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-18-7 佐藤ビル1F
最寄り駅:吉祥寺駅より徒歩7分
電話番号:0422-22-7668
営業時間:11:00~18:00(お菓子がなくなり次第閉店)
※カフェ利用は13:00~
休日:月・火・第2、4水曜
席数:7席
URL:http://dragon-michiko.tokyo/
https://www.instagram.com/dragonmichiko.tokyo/

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