この秋出かけたい! 体にやさしい焼き菓子店 Vol.3 ミレイネ(代々木上原)

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2018.11.09

「おいしい」と思うとき、そこにはきっと理由がある、はず。
食べる人のことを思った体にうれしい料理、作り手の信念を感じる料理や素材、心も温まるストーリーのある料理……。
そんな「おいしい」の正体を探して、食に思いを込めているお店や料理家さん、食のスペシャリストを訪ねて回ります。

体にやさしい焼き菓子店の特集、第3弾は、代々木上原にあるヴィーガンスイーツギフト専門店「ミレイネ」です。
8年ほど前、焼き菓子店のガイドブックを編集したときに取材したことがあり、オーナーの秋葉美和(あきばみわ)さんの魅力あふれる人柄がとても印象深く、また会いにいきたいとずっと思っていたのです。


応援したくなる、誠実に作られた素材だけを

代々木上原駅から徒歩5分ほどの立地にある、アンティークのドアが素敵なかわいらしいお店。

ミレイネに並ぶのは、ちょっとした手土産や引菓子にちょうどいいクッキーや酒粕クラッカーといったギフトスイーツで、どれもが乳製品・卵・白砂糖不使用のヴィーガン、マクロビスタイルのお菓子です。


黒のパッケージが上質で大人っぽい印象。あらたまった場所へのおもたせや、お世話になった人へのお礼にもぴったりです。


「ほろほろクッキー ストロベリー」は、フリーズドライの苺の酸味がきりりと効いて、女性に大人気。ほかにプレーン、抹茶味も。


秋葉さんは3人の子どもを育てるシングルマザー。1番上のお子さんのアトピーがひどく、マクロビ・ヴィーガンを取り入れた食生活を20年ほど前に始めたそう。


そしてお菓子には、長年マクロビやヴィーガンを独学で勉強してきた秋葉さんが、こだわり抜いて選んだ素材がおしみなく使われています。

「小麦粉は国産で無農薬のものを使っています。仕入価格は2倍以上しますが、農家さんも、それを販売する業者さんも、困難でも取り組んでくれている。そんな取り組みをしてくれる農家さんたちがいなくならないよう、ちゃんと使いたいと思っています」

そのほかにも、油は昔ながらの製法で作られた圧縮菜種油、甘味づけには体を冷やしにくいとされる未精製甜菜糖、クラッカーに使う酒粕は自然派素材好きの間で人気の酒蔵「寺田本家」のものを使用するなど、素材選びに妥協をしません。

そんなミレイネのお菓子は、小麦をはじめ素材の滋味がしっかりとして、ヘルシーなうえに食べごたえもしっかり。贈り物にはもちろん、自分へのご褒美スイーツにしたくなるちょっと上質なおやつです。


菜種油はクセがなくお菓子作りに適した「平出油屋」のものを、トマトペーストは質の高いオーガニック食品を扱う「アリサン」のものを使用。


ストレートのレモン果汁を使った「さくさくクッキー レモン」は、甘さ控えめの生地にレモンの酸味が心地いい。ほかに醤油、ココナツ味も。


「酒粕クラッカー ドライトマト」は、有機トマトペーストと天日干しのドライトマトを使いトマトの凝縮した味わいが。お酒のおつまみや子どものおやつにも◎。


自分の道を見つけ出すために熟考した後は、すぐに実行!

もともとは3人の育児をしながら会社勤めをしていた秋葉さん。育児と仕事の両立で困難な状況が続くなか、自分のライフスタイルにあった生活を手に入れようと、模索を続けてきたといいます。

「勤めていた会社の移転で、やむなく転職活動をすることになったんです。でも、3人も子どもがいると就活には不利で、面接でいやな思いをすることもありました。また、子どもが学校でけがをしたときに近所のお店で手当てしてもらったことがあり、“お店ならいざというとき子どもがいつでも駆け込める”という思いがよぎったんです」

そんな体験から、いつか自分でお店をやろうと決心した秋葉さん。それからは、「私にできることって何かなと、毎日考えながらずっと暮らしていました」と話します。子育てにかかる費用も含め生計を立てることが大前提。そして考え抜いて決めたのが、家庭で10年ほど作り続けているマクロビスイーツの経験を生かすことでした。

それまでは砂糖を一切使わずにお菓子作りをしていたので、それでは一般の人には受け入れてもらえないと、周りの人に試食してもらいながら改良を加え、納得するお菓子を完成。2010年に念願のお店をスタートすることとなりました。


2~4箱のギフトセットは、オーガンジーのリボンでふんわりと。5箱のギフトセットは箱詰めになります。


店名の「ミレイネ」は、3人のお子さんの名前を合わせたもの。母の愛情を感じる素敵な名前です。


仕事が忙しくても、気の利いたおもたせが手軽に手に入る嬉しさを届けたくて

お店をスタートした後は、お客さんの要望からカフェとして食事も提供、レシピ本を出版、料理教室の開催、百貨店への出店など、秋葉さんはさまざまな依頼を受けて、そのどれもに果敢に挑戦してきたといいます。

仕事と育児の両立を乗り越えてきたタフな面だけでなく、装いやモノ選びなどセンスも抜群で、こんな50代になれたらと思う憧れの人です。


店の一番人気「ほろほろクッキー プレーン」。ほろほろ食感の生地に、甜菜糖の粉糖がやさしい甘みをプラス。


しかし、どれもが「自分の生活に合った本当にやりたいこと」とは違うと感じ、現在ではすべて手放しています。そんな秋葉さんがいま力を入れているのはネットショップ。

「女性って家族のために生きているようなところがありますよね。子どものためにお店という道を選んだのですが、子どもに手がかからなくなると、今度は親の介護という問題が。今は頑張ってくれていますが、何かあったときにそばに行けるように引っ越しも想定して、ネットショップの充実が今後に向けてのベストな道だと」

これまでは地方中心だったのが、今年に入って関東からのネット注文が増えたことと、環境問題への配慮から、パッケージを薄型の紙製箱に変更。ポストインできるため受け取りしやすく、送料も安くてすむのが利点です。

「働いていると、お気に入りの店に出かけて行って手土産を買うってけっこうハードルが高い。だから気軽に受け取れると喜んでもらえるんじゃないかと思って。それにアレルギーの方も増えていて、せっかくもらっても食べられないなんて場合も。大勢人が集まるときなんかも、食事制限をしている人や添加物が多いものを控えている人がいてもわからないですよね。誰でも食べられる安心な手土産として利用してもらえたら」

そんなあたたかな思いをのせたお菓子は、どんなシチュエーションにもハマります。残業で遅くまで働く仲間に、ダイエット中や妊娠中の友人に、子どもの食に気づかうママ友に、そっと差し入れすればきっと喜んでもらえるはず。

3人の子育てをしながら料理教室や百貨店の出店などに挑戦してきたことの裏話を聞いていると、それはこの上なくハードでした。「でも、いろいろ経験したからこそ、本当に自分のやりたいこと、やるべきことの道が定まったんです」と清々しい表情で話します。

好きなことを仕事として続けていくのは大変なこと。でもそのために、何でも経験して失敗して最良の道を見つけだしてきた秋葉さんは、依然よりも一層きらきらと輝いていました。

 

この秋出かけたい! 体にやさしい焼き菓子店 Vol.1はこちら

この秋出かけたい! 体にやさしい焼き菓子店 Vol.2はこちら

 

La petite pâtisserie de Mirayné(ミレイネ)
住所:東京都渋谷区西原3-24-8
最寄り駅:代々木上原駅より徒歩5分
電話番号:非公開
営業時間:11:00~18:00
休日:月・日曜
URL:https://shop.mirayne.info/
https://www.instagram.com/mirayne/
https://www.facebook.com/Mirayne/

 

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