最近気になる鎌倉のパン屋さん① 3つの出会いが生んだ“絶品酵母パン”に会いに(後編)

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2018.12.28

「おいしい」と思うとき、そこにはきっと理由がある、はず。
食べる人のことを思った体にうれしい料理、作り手の信念を感じる料理や素材、心も温まるストーリーのある料理……。
そんな「おいしい」の正体を探して、食に思いを込めているお店や料理家さん、食のスペシャリストを訪ねて回ります。

今回は、前回に続き北鎌倉にある自家製酵母パンのお店「にちりん製パン」のご紹介です。2つの出会いをきっかけにパン屋さんとなったオーナーの大吾郎さん。今回は、3つ目の出会いから生まれたこだわりのライ麦パンのお話です。


つながりを大切にしたい、そんな想いが詰まったライ麦パン

 私たちが取材に訪れた日にたまたま新発売となったパンがありました。それは、レーズンとクルミ、カボチャの種がたっぷり入ったライ麦パンです。聞くとライ麦を使ったパンは意外にも初お目見えなんだそう。
「以前働いていたKIBIYAベーカリーにはライ麦パンがあり、自分の店でも出したいと思っていたのですが、できなかったんです。というのは、KIBIYAベーカリーのライ麦は、とある長野の農家が無農薬で栽培しているもの。両者には特別な絆のようなものがあったから、その農家さんを紹介してほしいとは言いづらくて」


北鎌倉散策のおともにぴったりなおやつパンも。木製のガラスケースが昔懐かしい雰囲気です。


「お客さまに“このパンは大事に食べきろう”と思ってもらえるかが勝負。とにかく一生懸命作るだけです」と大吾郎さん。


バターを練りこんだふわりとした生地に、ほうじ茶ときな粉のクリームが入った「ほうじ茶ときな粉のパン」もおすすめ。

農家との特別なつながりに憧れを抱き、輸入のライ麦を使うという選択肢はありません。
「ライ麦がなくてもおいしいパンは焼ける。自分にもそんな農家とのいい出会いがあったらライ麦パンを作ればいい」、そんな風に考えていました。

そして月日は流れ、ライ麦パンへの思いを忘れかけていた頃のこと。
編みパンの商品化のために卵が必要となり、自然養鶏のものをと考えた大吾郎さん。ネットで農家を探すと、自然農法で米や鶏卵を作っている兵庫県の「ただまき農園」に興味をひかれます。早速、事情を説明し卵を注文。届いた荷物を解くと、なんと卵と一緒にライ麦が入っていました。添えられた手紙には、「最近ライ麦を作り始めたので、よかったら使ってみてください」との文面が。
「オープン当初にライ麦についてあれこれ考えていたのをすっかり忘れていたのですが、ライ麦を見たら“おおーっ”て嬉しくなって。そのライ麦でパンを試作し、ただまき農園さんに送ったんです。そしたらおいしいと言ってくれて。それをきっかけに、ライ麦を譲ってもらうこととなり、今日ようやく販売にこぎつけました」


こちらがそのライ麦パン。ただまき農園から送られてきたライ麦を自家製粉して作っています。

そして、ライ麦パンにはもうひとつ大きなこだわりが。パンを作るときに、残った古いパンを入れるという製法がドイツにあるというのを知り、大吾郎さんはこのライ麦パンで試すことを思いつきます。
「残ったプレーンなパンをラスク状にしてとっておき、ライ麦パンを作るときに生地に混ぜ込んで焼き上げています。パンを再利用できるだけじゃなくて、保湿性が高まり味もよくなるんですよ」
そんな製法があるとは知らず驚き! いただいてみるとたしかにしっとり。ライ麦の香りがとてもよく、パンのなかではライ麦パンに一番手が伸びなかった私も、「ライ麦パンってこんなにおいしいんだ!」と感動。


こちらも人気の「フランスパン」。クラストは厚めでしっかり焼き込まれ旨味が凝縮、クラムは甘く噛むほどに味が増します。


「フランスパン」は小麦、塩、水、そこに補助的にモルトパウダーを加え、極力シンプルに作っているのだそう。“できるだけシンプルに”をモットーとする店の象徴的なパン。


「仕込みや発酵にたっぷりと時間をかけるため多くは作れない」と言いますが、その分少数精鋭の絶品パンが並びます。

店をオープンして売れ行きも上々ならそれで終わりとなりそうなところですが、大吾郎さんはそうはなりません。
パンの発酵時間をどんどんと長くしていったり、ライ麦パンの開発で特殊な製法に挑戦したりと、パンへのあくなき探求心は続きます。これからもその進化を楽しみに、何度も足を運びたいと思いました。

 

最後におまけで、大吾郎さんがご自宅でよく作るというパンサラダのレシピをご紹介。残って固くなってしまったパンで作ってもおいしいそうです。ぜひお試しを!

【パンサラダ】

材料
パン(トースターでこんがり焼いておく)、サニーレタス、ミニトマト、ニンニク、リンゴ酢(お酢であればなんでもOK)、赤ワイン(お好みで)

1 フライパンでオリーブオイルを熱し、ニンニクを炒める。そこに、リンゴ酢と赤ワインを加えてドレッシングにする。

2 ちぎったレタスをお皿に盛り、ドレッシングを半分ほどかけてなじませたら、残ったドレッシングにパンを入れて少ししっとりさせる。

3 レタスの上にパンとカットしたミニトマトをのせ、軽く混ぜ合わせる。ミニトマトはローストさせるとさらにおいしい。


工房でささっと作ってくれたパンサラダはとても美味! パンが水分を吸収しすぎないよう、作ったらすぐにサーブするのがコツだそうです。

 

にちりん製パン
住所:神奈川県鎌倉市山ノ内1388
最寄り駅:JR横須賀線北鎌倉駅より徒歩4分
電話番号:0467-67-3187
営業時間:10:30~17:00
休日:木・金曜
URL:http://r.goope.jp/nichirinseipan
   https://nichirinseipan.shop-pro.jp/(ネットショップ)

 

撮影 古家佑実
取材・文 諸根文奈

 


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