【リレー連載vol.28・曽田京子さん】革作家

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2019.02.26

良き毎日を過ごしている人は、食べることを大切にしている。キッチンにも、その人らしさがあふれている。そんなgoodな風景が広がる、キッチンをリレー式でお届けします。

 

 

「変わった家」と検索して見つけた3階建てのビル。
セルフリノベで、アトリエ兼快適な住居に

 東京・下町に建つ3階建てのビルに、曽田京子さんは夫の耕さん、3人の子どもたちと暮らしています。耕さんは、独特の作風で熱狂的なファンを持つ革作家。京子さんも革作家としてものをつくるため、自宅兼アトリエとなる物件を探そう、となったのが13年前。インターネットで、「変わった家」と検索をかけたら、出てきたのだそう。元は大きな造形作品で知られるアーティストのアトリエだった、という建物は、確かに鉄工所の倉庫のようで住居にするには少し変わっているよう。
 キッチンがあるのは3階。当時は、事務所として使われていて、壁面に収納棚が造り付けられ、小さなキッチンがちょこんと置いてあったそう。「3階に天窓があって、光がきれいに入るのが、この家にしようと思った決め手でした」と京子さん。3歳の娘を育てながらの、家作りが始まりました。
「建物内に鉄屑がたくさん残っていて、それを処分しながら半年かけて、壁を削ったりキッチンなどの内装工事をして住めるようにしたんです」
 そう、前の住人の置き土産の処理から、“ぶつぶつしたテクスチャーが気に入らなかった”と壁の塗装はがしまで、すべてプロの手を借りずに自分たちの手でやった、というから驚きます。

 ものづくりを愛し、行動力もある曽田夫婦だから、キッチンももちろんDIY。まず、京子さんの理想をもとに、段ボールで実物大の仮キッチンを作りシミュレーションしたとか。壁一面に道具がずらりと並んだオープン収納や、“こんなところに?”と驚く引き出しなど、曽田夫婦らしさが炸裂。
 材料もあるものでやろう、と、解体ででてきた木材や譲りうけた畳などを再利用。「買ったのは、天板となるシナベニヤ板くらい」。家作りは、その後、長男、次男と家族が増えるたびに、子ども部屋を増築したりとまだまだ続き、今も「2階に扉をつけたいと思いつつも全然できていないんです」と、これからも続くよう。

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シンクを換気扇に?自由すぎるDIYのキッチン

 キッチンに使われているパーツをよくよく見ていると、「その換気扇、もともとついていたシンクを利用したんですよ」(京子さん)。確かに、換気扇にしては不思議なかたち。シンクを外すときに、これは換気扇になるんじゃないか、と耕さんが溶接をしたとか。水道の金具も今では真鍮色のいい感じですが、もともとはピカピカ光るよくあるタイプのもの。それをはがして、しかも蛇口の裏が汚れるのが嫌だ、と「2個溶接してくっつけたんです」。タオルバーも、ネジと金属の棒を組み合わせて。どこにもないオリジナルなキッチンです。

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あちこちにある“ジブリ的装置”。おもちゃ箱のような暮らしの工夫

 3階がキッチン、2階に長女・杏ちゃんの部屋があるため、朝起こすときや用事があるときはドアを開けて大声で呼んでいたとか。冬の間はドアをあけると寒い!と、扉部分に小さな穴をあけて、そこにイケアのガラスポットのふたをはめたそう(写真★マーク部分)。ふたを外せば、ドアを開けなくても声が通る!という発想の自由さに、思わず笑ってしまいます。さらには、声をかけるのが大変と、手回し式のベルまで導入。くるくるとハンドルをまわせば、それがコードでつながり、階下のベルがリンリン♪と鳴る仕組み。なんだか『天空の城ラピュタ』のあの名シーンを思い出させます。「電話ってこれね、おばさま!!」とつい言ってしまいたくなる、遊び心あふれる工夫です。 
 ちなみに階段の壁には、普段使っているバッグをずらり。そのほとんどが、曽田耕さんが作ったもの。

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まるで「KINTA STUDIO」のギャラリー!?
家具はほとんどがKINTAさん作

 曽田家のダイニングの家具は3つあるテーブルすべてと、イスのほとんどが益子在住の作家、KINTAさんによるもの。「KINTAさんが作った器や土鍋も使っているので、KINTA STUDIOのギャラリーを自負しています」。木、革、鉄などさまざまな素材の組み合わせが、とても自由なKINTAさん。家具の常識をひらりと乗り越えて、作品のような存在感です。もう30年来のおつきあいで、今では家族ぐるみ。家具や器をもらうことも多いとか。背もたれの部分が顔になっていて、まるで歩き出しそうなベビーチェアは、通称「おじさんイス」。子どもたち3人全員が赤ちゃんのときから使い、今でも次男の林くんは愛用中。

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いつものごはん

 夕食は、大皿でどんとおかずをいくつか並べ、各自で取り分けることが多い曽田家。素揚げにしたパリパリ春雨と野菜たっぷりのあんのレタス巻きは、ごはんにも合います。「残り物の野菜をなんでも入れていますが、しいたけは入った方がおいしいです」

 

「野菜あんと春雨のレタス巻き」

生姜       ひとかけ
玉ねぎ      1個
人参       1/2本
レンコン     1節
しいたけ     4~5個
挽肉       400g
春雨(乾物)   1袋
レタス      適量

  1. 春雨は乾物の状態のまま、素揚げにする。
  2. 生姜、玉ねぎ、人参、レンコン、しいたけはみじん切りにし、油で炒める。
  3. 挽肉を入れさらに炒める。みりん大さじ1、酒大さじ1、味噌大さじ2で味をつけ、水溶き片栗粉でとろみをつける。
  4. さらにレタス、13を盛る。みじん切りにしたねぎやシソをかけるとさらにおいしい。

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愛用の道具

よく食べる家族のために大きなフライパンを探していたときに、豊洲のスーパービバホームで発見したのが、巨大ともいえるこのフライパン。なんと直径37cm。しかも軽い。「これなら一気に炒めものができる!」と即購入。


朝は3.5合、夜は5合炊く、というほどお米をよく食べるという曽田家。炊飯は、KINTAさんの土鍋で。「いろいろ試した結果、これが一番おいしく炊けるんです」。最大で3.5合までしか炊けないため、夜はル・クルーゼで。


「おむすび、サンドイッチ、サラダと何をどう盛っても様になる!」と複数枚、愛用中のKINTAさんのトレイ。クルミやサクラ、エンジュなどさまざまな樹種の木目がきれい。益子のスターネットで購入できるそう。

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曽田京子さん

布を扱う仕事を経て靴職人として働いているときに、靴作家の曽田耕さんと出会い、結婚。16歳の長女、11歳の長男、9歳の次男と3児の母となる。森田京子としてグループ展で、革を用いた靴、鞄など自身の作品を発表。

 

キッチンデータ/東京都内・持ち家・RC造3階建て

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取材・文/柳澤智子
写真/萬田康文

 


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