【リレー連載vol.29・渡辺芽実さん】とをがギャラリー運営

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2019.03.19

良き毎日を過ごしている人は、食べることを大切にしている。キッチンにも、その人らしさがあふれている。そんなgoodな風景が広がる、キッチンをリレー式でお届けします。

 

 

子どもの図工を真剣に考える!
そんな夫婦の創意あふれるキッチン

 前回、登場いただいた曽田京子さんが「息子が通う造形教室の先生だった」と紹介してくれたのが、渡辺芽実さん。しかも、“静かながら志が高く、子どもたちに宝のような時間を与えてくれた”という紹介文つき。 
 芽実さんは、はらっぱや路地の少ない現代に、子どもがものづくりを自由にでき、のびのびと過ごせる社交場をつくりたいと活動しているそう。小学校の図工の教員でもある夫の裕樹さんと一緒に、「あそびとくらし○△□」(まるさんかくしかく)というユニットとしてもワークショップを開催していて、最近では、小金井市内に「とをがギャラリー」を仲間とつくり、毎週木曜日子どもを中心に人が集える場として運営も始めました。
 芽実さんが暮らすのは、都内でも屈指の面積、しかも整備されすぎず自然が残っている、という公園のすぐそば。3歳になったばかりの娘、野々歩ちゃんと3人家族です。
 実はここ、裕樹さんがまだ大学院生だったときから暮らしているマンション。ひとりがふたりになり、ふたりが3人になって。家族が増えるにつれて、少しずつカスタマイズしたそうです。
 「日本の家って尺貫法をもとに造られているんですけど。それから割り出したサイズの30×45cmの棚がぴったり入る。この棚をひたすらベニヤ板で造って、組み合わせられるようにしたんです。これなら、どこへ引っ越しても持って行けるでしょう」(裕樹さん)
 ガスレンジやトースター、調味料などをのせる棚として。玄関とキッチンを仕切る靴箱として。リビングでは、壁全面に積み重ねて本好きな夫婦の蔵書すべてをおさめる本棚として。モジュールをきっちり計算してDIYしているから、見た目もぴったりそろって気持ちいい。
 「子どもが生まれたら食器棚が危険だな、と。キッチンのシンク下を活用できるように、ここにはまる食器用の引き出しを造りました」
 美術を教えるふたりだけあって、基本ほしいものは造る、というスタンス。愛飲するキリンラガーの瓶ビールケースも「むちゃくちゃ丈夫で積んで台になる」と材料になるとか。「しかも、必要なくなったとして酒屋に持って行けばお金が帰ってくる。循環できるってすごいですよね」
 ちなみに裕樹さんは、担当している学年のカリキュラムには、「あるものをうまくまわして利用するのがいい」と、廃材を多くとりいれ指導している、といいます。それを受けて子どもたちの創意にあふれた表現のプロセスは、学校のホームページでも公開中。うーん、こんな図工の授業、受けたかった!

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マンションの住人の集いの場。
ときには昼から宴会も

 輪ゴムやリボンの花を咲かせたミニツリーに目が留りました。これは、なんですか? 「色鉛筆の木なんです。大学生の頃に作ったものをそのまま飾っている(笑)。色鉛筆の芯ってちびたとしても最後まで使い切れないですよね。それを全部出して、木の枝に差し直したんです」。つつじの木が鹿の角みたいでいいんですよ、と続けるふたり。なかなか良い枝振りの木がなく、名古屋で落ちているのをたまたま見つけ、木の枝を握りしめて新幹線に乗ったという想像すると笑える話も。
 部屋のあちこちに自らつくったものがあり、そのひとつひとつにおもしろエピソードがあって。ゆるい空気が流れるせいか、人なつこい渡辺夫妻の人柄か、4部屋あるマンションの住人全員が仲良く、渡辺家で集まっては昼からずっと飲んでいる、というのもなんだかわかる気がしました。

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マッチで点火。なつかしの二連ガスコンロ

 コンロは昭和を感じる二連ガスコンロ。いわゆる普通のガス台で気に入るものがなく、中華料理店並のハイカロリー、コックをひねって、マッチで点火するという動作にも惹かれ、2台導入。野々歩ちゃんも、恐れずにマッチをすれるようになったとか。

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かわいいお手伝いさん

 芽実さんがキッチンに立ち、お昼ごはんの準備を始めました。白菜をざくざく切る音に、反応した野々歩ちゃん。箱をずずず、と押して芽実さんのとなりに並びます。実はこの箱、打楽器のカホン。ベニヤ板で裕樹さんが造ったもので、ときには子どもの踏み台、ときには楽器に。
 野々歩ちゃんが握るのは、アウトドア用の小さめナイフ。これで、一生懸命にんじんを切り始めました。少し前屈みになって、それはもう一心不乱に。
 「最近、お手伝いしたがるようになりましたねえ。少し前に指を切ってしまったんですが、本人はけろっとしていて」
 にんじんを無事切り終わると、さつまいもも切りたい、とさらにレベルアップ! さつまいもは、さすがに芽実さんの力を借り二人羽織状態で。コーヒーをお盆で運んだり、マッチをすったり、なんでもお手伝いに挑戦中。

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いつものごはん

 「母がよく作ってくれたんです。“たらことバターをけちらずたっぷり使う”のが、おいしいコツと言って」。友人が遊びに来たときには大皿でどん!と出す定番レシピとなり、今は野々歩ちゃんも大好き。「ちゅるちゅるー!」と言いながら、よく食べていました。ちなみに、野々歩ちゃんはスパゲティ、うどんなど名前の区別がまだついていないので、麺が食べたい!というリクエストがあったときは、写真を見せて「これかな?」と確認するというから、ほほえましい!

 

「たらこスパゲティ」

スパゲティ  人数分
バター    お好みでたっぷりと
たらこ    2本
のり     お好みで

  1. カットしたバターとたらこをボウルに入れる。
  2. 茹でたパスタをボウルに入れ、よく和える。
  3. 器に盛り、海苔をふる。

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愛用の道具

レザーが特徴的な靴作家・曽田耕さんの作品。余ったレザーを継いだ自由なかたち。芽実さんも裕樹さんも、ものを作るときに新しく材料を買うよりも、すでにあるものの再利用、廃材を使うので、曽田さんの姿勢には共感。


夫婦のユニット名「あそびとくらし○△□」の○△□がマークの手びねりのコーヒードリッパー。雨の休日、「土でもこねよう!」とみんなで陶芸をしたときに裕樹さんが作ったもの。いびつながら、なかなかおいしいコーヒーが淹れられる。カップは、seiの作品。


芽実さんが一人暮らしを始めるときに、かわいいから、ともらってきたという実家の黄色いホーロー鍋。「今でも使っていると知ったら、母が一番驚くと思う(笑)」。同じく、ボウルもいまだ愛用中。

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渡辺芽実さん

大学卒業後、教育系のNPOで働き子ども向けのワークショップ教室を担当。
夫の裕樹さんと「あそびとくらし○△□」(あそびとくらしまるさんかくしかく)のユニット名で、小金井市のはけのおいしい朝市などで、ものづくりや50人分ものパエリアを作るワークショップ“旅するパエリア”などを開催。
仲間と小金井の商店、丸太ストアー2階を改装し、「とをがギャラリー」を始める。駄菓子屋さんのようにこどもが自由に過ごせる場所として、毎週木曜日に開放。

 

キッチンデータ/賃貸マンション

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取材・文/柳澤智子
写真/萬田康文

 

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