【リレー連載vol.31・カキシマゾゾミさん】

2019.06.24

良き毎日を過ごしている人は、食べることを大切にしている。キッチンにも、その人らしさがあふれている。そんなgoodな風景が広がる、キッチンをリレー式でお届けします。

 

 

ひとり娘の新婚の新居。
DIY好きな父が一肌脱ぐ

 前回のキッチンの住人・田川薫さんがつないでくれたのは、ともに「ごがつの日」というバンド名で音楽活動をしているカキシマゾゾミさん。カキシマさんはギターとボーカル、田川さんはウクレレ、メインボーカル、そして口笛を担当。のびのびとして透明感にあふれた歌声とプリミティブなサウンドが、名の通り5月のある日のようなさわやかさを感じさせるバンドです。(由来は、ふたりとも5月生まれだからだそうですが)
 カキシマさんは、横浜の丘陵地に広がる住宅地のメゾネットで夫と二人暮らし。夫の赤澤さんは大学時代の軽音部OBで、カキシマさんにギターを教えてくれたことが縁で結婚されたとか。
 さて、音楽好きのカキシマさんと赤澤さん。音楽の方向は似ていますが、住まいに求めることは少しだけ違ったようで、この家に決めるときもすぐに気に入ったカキシマさんに対して、赤澤さんが「えっ、そうなの?」と思ったことがあったそうです。
「私がいいな、と思った理由は、賃貸なのに壁塗りなどプチリノベーションをしてもいいといわれたことなんです。とはいっても、前の入居者の方の残置物がすごくって、キッチンの床もなぞのカーペットが貼ってあったり、壁のタバコのヤニがすごかったり。DIYしたらよくなる、と思いました」(カキシマさん)
 そのほか日当たりのよさやキッチンにある四角い小窓、壁に冷蔵庫や収納のためのくぼみがあるというちょっと変わった造りもカキシマさん好み。
「このくぼんだところにテーブルを置いて、二人で向かい合ってご飯を食べたい!と一気に想像が膨らんで。交通の便がとても悪いのですが、決めてしまいました」
 一方、赤澤さんは住み始めるまでの手入れする時間、労力を考えるとほかの物件も見てからではいいのでは?と冷静な考え。ですが、広さに対しての賃料の安さやすぐ近くが森という環境のよさなどをふまえると、DIYも楽しいだろう、と乗り気に。
 新婚でさぞかし楽しい新居作りだったのだろうと思ったら、「僕、少し2階の砂壁を塗っただけでなにもしていなんですよね」と赤澤さんからはまさかの答え。
 行政書士として多忙な赤澤さんにかわって、新居を普請してくれたのは、伊豆に住むカキシマさんのお父さん。定年退職したばかりで時間に余裕があり、手先が器用なお父さんは、一人娘のために寝袋持参、泊まり込みで床はがしから壁のしっくい塗り、キッチンにあった洗面台撤去など猛スピード、高クオリティで快適な住まいになるように進めてくれていました。
「見違えるようになって、わーっ!ありがとうって。父は、知り合いの農家さんで使わなくなった木箱を大量に運んで来てくれたり、育てた野菜を届けてくれたりと、車でフットワーク軽く来てくれるんです」(カキシマさん)
 このあたたかで暮らしやすそうな新居の裏に、父の娘への思いありのようです。

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道具はかけるだけ、器は戻すのが
楽しくなるように飾るように収納を

 さて、夫婦ふたりとも料理はするというカキシマさんと赤澤さん。特に、最初は赤澤さんのほうが料理が得意だったそうで、カレーをスパイスから調合したり、自家製チャーシューのラーメンを作ったりとかなりの凝り性。
 普段の食事はカキシマさんが担当です。出勤がゆっくりのふたりなので朝ごはんをのんびり食べ、赤澤さんのためにお弁当をつくって見送ります。つい先週までカキシマさんが仕事を持っていたため帰宅は22時半。23時からになる、という夕ごはんは昼に仕込んでおいた具沢山のお味噌汁やうどん、ぬか漬けなどあっさりしたものを。
 3食家で食べるふたりなので、キッチンはフル稼働。使いやすい工夫はなんですか?
「キッチンの工夫は、あまりちゃんとしまう必要のないことです。ずぼらなので、道具はほとんどかけるだけや食器はなるべく戻すのが楽しくなるように飾るように置いています。いつも同じ場所にあるものをいつもの動作で取り出して、使い終わったらまた同じ場所へ戻すというのが気持ちいいので、なんとか保てているかな」(カキシマさん)

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古いもの好き、ほり出しもの上手は学生時代から

 京都で過ごした大学時代から古いもの好き。お寺で行われる蚤の市やクラフト市をまわっては、小引き出しや本立てを手に入れてきました。この家に引っ越すにあたり探していた古いテーブルや棚は、古道具屋さんやヤフオクで。最近は、ここに友人でもある作家の作品が加わるようになったとか。
 ここで、取材中にチャイムがなりました。届いた宅急便の中身は、熊谷隼人さんの絵。
「初めて絵を買ったんです」とうれしそうなカキシマさん。先日、益子の陶器市でのライブ出演したときに出会い、動物のようにもタイポグラフィのようにも見える点描に惹かれたそうです。絵が映える白壁はたくさんありますが、とりあえず小さなイスの上において、しばらくどこに飾ろうか考えることに。

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いつものごはん

 「日々の料理で大切にしていることといえば、出汁をとるということくらい」というカキシマさん。赤澤さんの出身が香川ということもあり、おいしいだしでいただくぶっかけうどんがいつものごはん。こんぶといりこという西の味のだし汁に加え、ここで使うしょうゆは自家製チャーシューを仕込んだときの肉の旨味がたっぷり残ったしょうゆ、というぜいたくな使い回し。黄身とすりごまを混ぜてまろやかに。


「ぶっかけうどん」

だし汁
 水   600ml
 こんぶ 6g
 いりこ 6g

めんつゆ
 だし汁  260ml
 しょうゆ 70ml
 みりん  7ml

うどん(半生タイプ) 2人分
新鮮な卵の黄身    2個分
すりごま       お好みで

  1. 水に昆布を一晩浸けた鍋を弱火にかけ、いりこも入れ沸騰する直前に昆布だけ取り出す。
    沸騰して5分くらいしたらいりこを取り出す。
  2. 1でできただし汁を260ml分、別の鍋にうつし、しょうゆ、みりんを加え、沸騰させめんつゆを作る。ここで多めに作ってストックしておくと便利。
  3. うどんを茹で、しっかりと流水でぬめりをとり、ひきしめる。
  4. 器にうどんを中央を少しくぼませるように盛る。そっとめんつゆをまわしかける。刻んだネギ、卵の黄身をのせ、すりごまをかける。

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愛用の道具

5月の誕生日にプレゼントとして夫からもらった包丁。手入れをしながら長く使えるものをと、山形の職人によるものを選びました。まな板は、雑菌に強く、消臭効果があるヒバ。


だしをとるのは、中尾アルミ製作所の行平鍋で。2人暮らしにちょうどいい直径18cmのもの。ひっかけやすいように木柄にO型フックをとりつけました。


家で過ごすときはずっとラジオを聞いている、というカキシマさん。以前、地図や辞書などスマホアプリを使わずに生活できるか、という思いつきを実践していたときに買ったラジオだそう。手動で充電できる災害時対応。

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カキシマゾゾミさん
音楽家。20歳から曲を作り始め、ライブ活動をしている。
2017年5月より、田川薫とのバンド「ごがつの日」を結成。
ギターと歌を担当。夫とカメ2匹と暮らす。

赤澤師明さん
行政書士事務所アカザワ 代表
生き物が好き。

キッチンデータ/神奈川県 賃貸 集合住宅 2階建て3K

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取材・文/栁澤智子
写真/萬田康文

 

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