【リレー連載vol.32・田中未奈さん】

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2019.08.30

 良き毎日を過ごしている人は、食べることを大切にしている。キッチンにも、その人らしさがあふれている。そんな風景が広がるキッチンをリレー式でお届けしてきましたが、今回が最終回。
 31回目に登場した、音楽家・カキシマゾゾミさんが紹介してくれたのが、「ときどき手伝いに行っている」というゲストハウス「Futareno(フタレノ)」。世界中から集まった旅人が料理をし、食べる、というゲストハウスならではのシチュエーションにgoodな風景が見られそうです。

 

 

横浜・野毛。昭和の街並に生まれた
リノベゲストハウス

 ゲストハウスFutarenoがあるのは、昭和の香りをいまだ色濃く残す街、横浜・野毛。成田山横浜別院に続く小道で長く営業していた旅館を改装し、2016年3月にオープンしたとか。
「双葉旅館という名前の旅館をリノベーションしたからFutarenoなんです」
というのは、オーナーの田中未奈さん。夫の健太さんとふたりでFutarenoを営んでいます。
 建物は、築50年木造2階建て。全面改装してもいい、というオーナーの理解のもと、大工さんだけでなく友人知人、ボランティアとSNSで広く募集してDIYも含めて、天井は1階・2階共取り払う、一部の部屋に小上がりを作る、ロビーに全面本棚を設置するなど、大きくリノベーション。一部にすりガラスや「浴室」と書かれた看板はそのままにして、昔ながらの旅館の情緒を残す、居心地の良い場所となりました。

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暮らしているのに旅先みたい。
共同キッチン

 もともとは保育士だったという未奈さんがゲストハウスを始めたのは、「消去法で残ったのがゲストハウスだったから」。会社員だった夫と45カ国をめぐる1年ちょっとの旅に出たところ、帰国後「もう会社勤めはしたくない」とふたりの意見が一致。自営業をしようか、飲食店は難しいし、と考えたていたところ世界各国で泊まって来たゲストハウスのことを思い出したとか。
「いろんなゲストハウスを見て来て、自分たちも人が集まる場を作りたい、と思ったんです」
 そこから、資金集めのために夫婦でオーストラリアでのワーキングホリデーへ。「ひたすらトマトを収穫していました。英語が上達したかって? いえいえ、日本人のファーマーの方だったし、そもそも収穫ばかりで街にも出なかったので英語を話す場面がない」と笑う未奈さんですが、未奈さんも健太さんも海外からのゲストには流暢な英語で対応しています。

「自宅はすぐ近くに借りているんですけど、ほとんどの時間をこっちで過ごしているんです」
 朝はゲストのチェックアウト対応、それから掃除。
 夕方は、またチェックインの対応で慌ただしくなる。
 自炊をするゲストに混じって、このキッチンでも自分たちの料理を作ります。
   
「常連のお客さんが珍しい食材のやおいしいものをもって来てくれて、タイ料理パーティをしたりもします」
 その常連さんが暮らすのは電車で40分ほどの場所。十分に帰れる距離ではあるけれど、そのまま泊まって行くこともしばしばとか。
 仕事場であり、半分自宅のようであり、長くここで時間を過ごしても、いまだにどこか旅にきているような気分になる、田中さんのキッチンでした。

 

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いつものごはん

 「メンチカツは、私の母の手料理の中で大好きな料理。何度も教わっているのですが、なかなか母のように作れず苦戦中」という肉と玉ねぎ、こしょうのシンプルレシピ。できたて熱々を、受付でもう晩酌を始めていた夫の健太さん、よく遊びにくるという常連さんに出したところ、「うまーい!!」


「メンチカツ」

ひき肉(豚か、合い挽き)  300g
玉ねぎ    1個or半分
卵      1個
パン粉    適量
薄力粉    適量
こしょう   少々
油      適量

  1. 玉ねぎをみじん切りにして炒め、冷ます。
  2. 玉ねぎと卵、こしょうをひき肉に入れてよくこね、1日寝かす。
  3. ひき肉の状態を見ながらパン粉を入れる。調度いい固さになるまでこねる。
  4. ひき肉を小判型にする。
  5. 薄力粉→卵→パン粉の順に付けて、油で揚げる。
  6. よく中まで火を通すように両面揚げたら、出来上がり。

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愛用の道具

 台湾の屋台やレストランで瓶ビールを頼むと、たいてい一緒に出てくるこのコップ。台湾最大のビール会社「台灣啤酒(タイワンピージョウ)」のロゴ入り。小ささ、ぽってりとした厚みがかわいくて、旅先で頼んで譲ってもらったとか。


お茶好きの未奈さん。愛用の急須は、常滑焼の朱泥急須。伝統的なかたちだけあって、おいしく淹れられる。

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田中未奈さん
Guest House FUTARENOオーナー。幼稚園教諭を退職後、夫の田中健太さんと2012年、約1年間かけて世界一周の旅へ。帰国後、夫婦でオーストラリアにワーキングホリデーで渡り、その資金で2016年3月にGuest House FUTARENOをオープン。今年で4年目となる。

【GuestHouse FUTARENO】
神奈川県横浜市中区野毛町四丁目173-5
料金:6人部屋3,000円/人~(詳細・予約はウェブサイトから)


キッチンデータ/神奈川県 木造2階建て(ゲストハウス)

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取材・文/栁澤智子
写真/萬田康文

 

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