天然酵母が自宅で簡単に作れる!作り方やコツを紹介

2019.02.27

自宅のホームベーカリーでパンを焼き始めると、そのうちに酵母にまでこだわって、自分で作りたくなってくるという話を聞くことがあります。とは言え、「菌を扱うの?難しそう。」と感じたりして、天然酵母を自宅で作るというのはちょっとハードルが高いと思われがちです。でも実は、必要な材料も少ない上に作業としても簡単なので、簡単に自家製天然酵母を作ることができます。酵母から生地まで、100パーセント自家製のパンを作るという丁寧な暮らしができたら、素敵です。ここでは、天然酵母を自宅で作るための作り方、失敗しないためのコツなどをお伝えします。

 

 

 

まず天然酵母って何?

酵母と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。パン酵母、そしてビール酵母やワイン酵母なども聞きなじみがあります。酵母というのは、自然界に生きている菌のことで、糖を分解してアルコールと炭酸ガスを発生させる性質を持っていて、食べ物や飲み物を美味しく、香り良くしてくれる力を持った菌の総称で、特定の一種類の菌のことを指しているわけではないのです。果物などの多くに自然と付着している酵母菌を培養することで、パンの発酵に使用する天然酵母を作ることができます。使う果物や穀物によって、作りやすさや香りなどの特徴が違う、様々な種類の天然酵母を生み出すことができます。

天然酵母は大きく分けて、市販されているドライタイプと自家製タイプの二つの形状があります。ドライタイプは、天然酵母を乾燥させて粉末状にしたものです。使用する際には、顆粒状のドライ天然酵母とぬるま湯(温度を30度程度にしたもの)を1対2の割合で混ぜて、28度から30度の状態を24時間キープし、生種とします。一方自家製タイプの方は、瓶などに果物や穀物、そして水を入れて、酵母を培養して作ります。そうしてできた酵母液種と強力粉などを混ぜて元種とします。では続けて、自家製天然酵母によく使われる食品について詳しく紹介をします。

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天然酵母によく使われる果物

どのような素材が天然酵母づくりに向いているのでしょうか。まず、トップバッターとして挙げられるのがレーズンです。レーズンからはレーズン酵母を作ることができます。選ぶレーズンは、オイルコーティングがされていないものが良いです。オイルコーティングがされていると、酵母液の中にオイルが浮いてしまい、酵母菌がうまく呼吸できず、増殖できなくなってしまうからです。近所のスーパーだと、オイルコートなしのものが見つからないこともあるかもしれませんが、製菓材料が豊富な富澤商店やネット通販では簡単に手に入れることができますので、のぞいてみてください。

レーズンは発酵しやすく、3日ほどで発酵の印である泡が出始め、酵母ができてくると次第に瓶の底にオリのようなものが溜まるのが見えます。そして1週間ほどで酵母ができ上がります。時期によっては、いちごを使うのもおすすめです。いちごはヘタを取り、砂糖などの糖分と共に瓶に入れると発酵しやすくなります。レーズンと同じく、3日ほどで泡が立ち始め、4~5日で酵母ができます。りんごの場合は、むいた皮や芯、種の部分のみを使って作ることができるので、経済的にもうれしいです。実を使う場合も、皮や種を付けた状態で使います。やはり3日ほどで泡が立ち始め、その頃になると瓶のフタを開けた時に「シュワッ」とガスの抜ける音がします。7日ほどでできあがり、うまくいけば果実酒の良い香りが立ちます。バナナでも同じように酵母を作ることができます。梅の場合、あの香りがぎゅっと凝縮され、パン用の酵母としてだけではなく、調味料としても役立ってしまうという優れもの。ドレッシングやカレーの隠し味に使うと味がよくなり、重宝します。柿やぶどう、梨も糖度の高いフルーツなので、発酵に向いています。

そして、レモン、みかんやオレンジ、グレープフルーツといった柑橘系のものは水分、糖分共に多く含まれているので、発酵力が強いです。キウイやアメリカンチェリーでも酵母づくりが可能ですが、糖分が足りないと感じる場合はハチミツや砂糖を足して作ります。アメリカンチェリーは、1~2日ほど天日干ししてドライチェリーにしてから使用すると、糖分がアップします。いずれも皮ごと使うので、無農薬のものを選ぶと、さらに体に優しい自家製天然酵母に仕上がります。

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初心者向きの天然酵母は?

初めて天然酵母を自家製で作る方には、まずはレーズンで試してみることをオススメします。レーズンは発酵力が高く、3日程度でかなり発酵が進みます。そして1週間もあれば完成させることができます。レーズンが使いやすい理由のもう一つに、一年中いつでも手軽に入手することができる、という点があります。確かに、レーズンならば季節を問わずに売っています。初心者にうれしいレーズンではありますが、作る時期の気温によってはできあがりまでにかかる時間も変わってきます。涼しい季節の培養で、なかなか泡が立ってこなかったとしても、目安となる3日プラス数日は様子を見てみてください。1日に1回はフタを開けて空気を入れ替えますが、その時に腐敗臭を感じることがなければ、気長に待ってみてください。もしも培養の序盤で水の表面にカビが浮かんでしまった場合でも、煮沸消毒したスプーンなどで取り除けば、その後うまく酵母が育ってくれることもあります。ですが何度も同じ状態になってしまう場合は、もう一度最初からやり直してみてください。

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天然酵母を作る前の準備

自家製天然酵母を作る前に準備が必要になります。まずは酵母起こし用の瓶と元種作りの瓶を煮沸消毒して用意します。酵母用の瓶は密閉が可能なガラス瓶が好ましく、WECKなどの細長いタイプが適しています。元種作り用の容器はポリプロピレン製などでも良く、底が広くて中の様子が見えるものを用意しましょう。できるだけ専用の新しいものを使うのがおススメです。自家製酵母のもとになる菌は非常に繊細なため、別の用途で使った瓶に残った菌が、酵母菌の発酵を邪魔してしまう可能性があるからです。

そして酵母に使う果物または穀物を選び、用意します。使うものによって、その酵母でパンを作った時の風味が違うのでお好きなものを選んでもらいたいですが、初めての場合はやはりレーズンがおすすめです。レーズンで成功させてから、ぜひ色々な種類の酵母菌づくりにチャレンジしてみましょう。もしもフレッシュフルーツなどを使う場合で、無農薬のものを使える時には、あまりよく洗わず、洗った後の水分も拭き取らないようにしてください。皮やヘタなどの周り、芯の部分に天然の酵母菌となる菌がいるので、それを洗い流さないようにするためです。無農薬かどうかが分からない場合には、きちんと洗った方が無難と言えます。果物についている菌だけではなく、空気中にも酵母菌の元となる菌が浮遊していますから、その菌たちをうまく取り込んで培養できれば、酵母作りはできます。

最後に重要なのが、天然酵母を置いておくスペースです。ただ単にそのための空間がほしいのではなく、温度を27度前後に保つことのできる暖かい場所が必要です。箱を用意してその中に瓶を入れておくのも良いでしょう。冬であれば暖房器具の側に置き、夏の場合は箱の中に保冷剤を入れて温度を保てるようにします。

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天然酵母の基本的な作り方

どの素材を元に天然酵母を作るとしても、基本的な作り方は同じです。まず、用意した瓶の3分の1程度までレーズンなどの果物や穀物を入れます。そしてフタ下1cm程度のところまで水を入れます。この時に使用する水は、浄水器を通したものや湯冷まし、ミネラルウォーターなどを使用します。水を入れたらしっかりとフタをして、よく振ります。基本的に、あとは放っておくだけでできてしまいますが、毎日1~2回はよく瓶を振り、フタを開けて空気を入れ替える作業をして、酵母の呼吸を助けましょう。発酵してくるとガスが充満するので、ガスを抜くためにフタを開ける作業は酵母ができ上がって冷蔵庫で保存するようになってからも必要です。

そのまま、27度前後の常温で数日間置いておきます。気温や酵母にもよりますが、だいたい3日~5日ぐらいで気泡がぶくぶくと立ってきて、中に入れた材料が酵母液の上に飛び出して浮かんできます。そして瓶の底にはオリと呼ばれる酵母菌のかたまりが見えるようになってきます。フタを開けた時に炭酸のような「シュワッ」という音がするようになったら、冷蔵庫で1日寝かせて、酵母液種が完成となります。うまくいくと、果実で作った場合には果実酒のような香りがして、見た目には液面の上に材料となった果物などが浮かんでいるような感じになります。作った酵母液種から元種を作り、それを使ってパンを作りましょう。さらに液種はパンだけではなく、お菓子作りや普通の調理の際の隠し味としても使える優秀なアイテムですので、幅広く活用してください。

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酵母元種の作り方は?

さて、酵母液種は完成しましたので、次は元種を作ります。元種ができれば、ようやくパン生地作りに入りますので、過程を楽しみながらもう少し頑張りましょう。用意しておいたもう一方の瓶などの中に、できあがった天然酵母液と強力粉とを1対1の割合で入れ、スプーンで混ぜます。この時に使用するスプーンも瓶と一緒に煮沸消毒しておくか、熱湯をかけるなどして消毒することを忘れないでください。ちなみにポリプロピレンの容器を使う場合は洗剤でよく洗った後、自然乾燥をすればOKです。

混ぜたらフタをして、27度前後の場所で6~8時間おいておきます。最初に種を入れた時の高さのところに、輪ゴムをかけておいたり、テープを貼っておいたりして目印をしておくと、どのぐらい膨らんだかが確認しやすいです。寝かせておいた種が2倍ほどに膨らんだら、冷蔵庫で6時間以上休ませ、また追加で酵母液と強力粉を1対1の割合で入れて常温でおきます。4~5時間ほどで、また2倍に膨らみますので、同じように冷蔵庫で6時間以上休ませ、さらに追加の酵母液と強力粉を混ぜます。同様の工程をあと1回繰り返し、全部で3回、酵母液種と強力粉を継ぎ足し、最後に2倍に膨らんだ時に表面に細かい穴が開いていれば完成となります。一度に入れる酵母液種を50gとすると、大体2~3回パンを作れるぐらいの元種ができ上がります。もしも丸一日待ってみても、元種が膨らんでこない場合は、残念ながら失敗でしょう。気持ちを切り替えて、もう一度元種作りの最初からやってみましょう。再チャレンジの時には、改めて温度管理に気を付けてみてください。

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おすすめの天然酵母パン

ついに自家製天然酵母、そして元種を作ることに成功しました。あとはお好みのパンを作りましょう。天然酵母を使って作るパンは、素朴な風味や酸味が特徴です。酵母次第で色々な風味を感じることができますし、作るパンと酵母との相性もありますから、様々な組み合わせを楽しめます。

天然酵母を使ったパンを自分で作るなら、酸味が美味しいパン・ド・カンパーニュがおススメです。ホームベーカリーに強力粉、ライ麦、全粒粉などと共に元種を混ぜます。そしてできればバヌトン型があれば本格的なパン・ド・カンパーニュを作ることができます。スライスして焼いて、バターを軽く塗って食べれば、酸味の効いた味わいを楽しむことができます。全粒粉を使ったレシピだと、天然酵母の素朴な風味が際立ち、自家製の楽しみが一層増します。酸味のあるパンにはマスカルポーネチーズを塗り、ハチミツをかける食べ方もよく合い、それだけでも素敵なオードブルの一品となります。またリュスティックもおすすめの天然酵母パンの一つです。

材料は元種のほかに強力粉、ショートニングなどで、お好みでオレンジピールなどを入れてもgood。甘みと塩気のハーモニーが、パン好きをうならせます。そしてやはり、食パンは外せない一品です。材料は元種のほかに強力粉があれば、あとは砂糖と塩などです。酵母の香りを吸い込みながら、自然な甘みを感じてください。トーストしてバターを塗っても、そのままでオリーブオイル&塩を付けて食べても、どんな食べ方でも楽しめます。そしてぜひ試してみてもらいたいのが、フォカッチャです。材料は強力粉、全粒粉、小麦粉などで、美味しいオリーブオイルがあるとぐっとランクアップします。フォカッチャの場合は、酵母液種を使います。元種ではありませんので、ご注意ください。お好みでハーブなどを乗せても美味しいです。

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自宅で天然酵母やパン作りを

自家製天然酵母作り、元種作りについてお伝えしてきました。時間はかかるものの、必要な材料は少ない上に比較的安価にできます。作業と作業の間も時間が長い分、かかりっきりにならずに済み、慣れてしまえば生活の一部として日々のルーティーンワークにできそうです。ぜひ気軽に、自宅で天然酵母やパン作りをしてみましょう。作ったパンをお気に入りの食器に乗せ、お気に入りの部屋着を着てカフェオレと共に楽しむ。そんなスローライフを地で行く生活に、癒されること間違いなしです。

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