vol.5. 私たちに「養生」は出来るの? ~薬に頼らない漢方とは~(後篇)

2018.05.30

「年齢を重ねると、女の人はこころもからだも、いろいろありますよねぇ」。
フォトグラファー・大段まちこと、フリー編集者・井尾淳子、「お年ごろ」を迎える2人が「こころとからだ」を元気にする浄化スポットを訪ねます。

「薬を売らない薬剤師」として活動する藤巻祥乃さんを訪ねた前回。私たちが学んだのは、「漢方は、漢方薬がすべてではない」ということ。そして「養生」とは、「完璧&ていねいな暮らし」を目指すことではなくて、深呼吸など、生活の中のシンプルな習慣だけでもOK!ということ。「あとは心の持ち方を見直すだけで、体はその方本来の力を取り戻すことができますよ」と藤巻さん。後半は、その「心の持ち方」と気付きについて、さらに深掘りしていきます!


藤巻 漢方では、病気や不調の原因は、次の3つにあると考えられています。まずひとつは、その人の生まれ持っての体質ですね。

井尾 胃が弱いとか、腸が弱いとか。

藤巻 そうです。変えたくても変えられない、先天的なものですね。そして2つめが、食事などの生活習慣。3つめが「心の持ち方」。これは、考え方のクセのようなもの。この2つは後天的なものなので、変えていくことができます。

大段 考え方のクセというと?

藤巻 たとえば、「自分はまだいろいろなものが足りていない」と思ってしまうこと。その足りていないものを埋めようとして、一生懸命がんばってしまうという考えグセです。

大段 ははぁ……。自分を含め、何かと頑張りすぎてしまうお年ごろ女子には、思い当たるフシがありそうです。

井尾 先天的な体質や生活習慣は自分で振り返ることができますが、考えグセというのは、自分ではなかなかわからないです。

藤巻 ですよね。そこで私がカウンセリングなどで使っているのが、この「アニマルメディスンカード」なんです。


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ネイティブアメリカンの教えに基づいて作られているアニマルメディスンカード。「動物からの智慧のカード」とも呼ばれているとか。「最初はなかなか本音を言えないクライアントさんも、カウンセリングでこのカードを使うと、“じつは……”と、心の内をお話してくれることが多いんです」(藤巻さん)


アニマルメディスンカードが教えるサインとは?

2人 へぇ〜!(興味津々)

井尾 カードの動物が、メッセージを伝えてくれるということですか?

藤巻 はい。たとえばリスのカードが出たら、食料を溜め込んで冬を越すという性質から、「備えあれば憂いなし」のサインとみます。反対に、「あわてんぼうのリス」という側面から、「不要なものまで溜め込んでしまっているよ」ということを教えてくれる場合も。

大段 面白そうですね。やってみたいです。

藤巻 では大段さんから。「自分へのメッセージを下さい」とイメージしながら、カードを切ってください。

大段 イメージ…しました。

藤巻 そうしたら、利き手と逆の手で、3枚のカードを選んでください。


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じゃん! 大段さんが選んだ3枚のカードはこちら。1枚め「スカンク」、2枚め「オオツノジカ」、3枚め「トカゲ」。果たしてそのココロは!


エネルギーを使いすぎ、ひとりで頑張りすぎ……
カードはすべて知っていた!

井尾 この3枚には、それぞれどういう意味が?

藤巻 1枚めは「現状」。2枚めは「課題やチャレンジすること」。3枚めは「最後のアドバイス」という意味です。1枚めがスカンクだった大段さんは、とても敏感な方のようですよ。

大段 はっ(ドキッ)。

藤巻 何事も先回りできるだけに、頭を使い過ぎる傾向があるようです。いつも、ビンビンにエネルギーを出し切っているので、とても疲れているのではないでしょうか。

大段 たしかに、まわりの人にもそう言われます。

藤巻 そして緊張がMAXになると、スカンクなので自分を守るために、おならを出して相手を威嚇することがあります。

大段 きゃー、わかります。怖くてついやってしまうんですね。

藤巻 敏感さがポジティブに出ている時は強みになるのでいいのですが、ネガティブに出ると「気」である生命エネルギーを使い過ぎて疲弊して、相手に対して構えてしまう……ということをスカンクが教えてくれていますね。

大段 なかなか深いですねぇ。

井尾 2枚めのオオツノジカには、どんな課題が?

藤巻 オオツノジカは、スタミナのある動物です。そのメッセージは、「自分の肉体をケアする時間を増やしなさい」ということ。食べ物について、とても慎重な動物でもあるので、「もう少し、食に対して気をつけて」とも伝えているようです。

大段 わかります……。最近、食べる時間が遅くなっていることについては自覚がありました。


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お年ごろ女子におすすめの漢方食材は、黒木耳とくるみ。「黒木耳は、不足しがちな気と血を増やしてくれます。私はいつも、煮物に入れたり、卵と炒めたりしています。
くるみは、漢方でいう“腎”と“肺”の働きを高め、肌に潤いを与える美肌やエイジングケア効果と便秘改善の効果があります」(藤巻)


藤巻
 そして最後のアドバイスはトカゲ。トカゲにとっては、じっとしていることが想像力の源なんです。このカード展開からカードが意味することは、「ちょっと動きすぎているよ」というメッセージが出ているということ。やっぱり、ご自身を労ってあげることが必要なようです。

井尾 大段さん、休まないと〜(笑)。

大段 今日は早く寝ます。


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じゃん! そして私が選んだ3枚のカードはこちら。1枚め「ヘラジカ」、2枚め「ビーバー」、3枚めは「犬」。


大段
 また全然違う動物が出ましたね。

井尾 ホントですね〜。

藤巻 井尾さんの現状を表す1枚めはヘラジカ。これは、「沈黙の知恵」と呼ばれています。どん、とした動物なので、「もっと自分に自信をもって、力強さを出していきましょう」と伝えているようですよ。

井尾 力強さ……は、たしかにあまり出していないかもです(笑)。

藤巻 2枚目の課題を表すビーバーは、ダムを作る動物。なので、物事は入り口と出口、逃げ道も作りましょうね、ということを伝えています。つまり、「ひとつの考え方に固執して、自分を追い込まないで」ということですね。また、家族を大切にする動物でもあるので、「家族や家庭を大切に」というサインでもあるようです。

井尾 忙しくなると、つい仕事優先で家族を放置してしまうので……。気をつけます(涙)。

藤巻 大丈夫ですよ(笑)。そこに繋がるのが、最後のアドバイスの3枚目、犬。忠実で、誠実さや信頼を大切にする動物なので、「助けが必要な時は、もっと周囲に頼りなさい」と教えてくれています。

大段 なるほど〜。

藤巻 自分に対して、あまり否定的な感情を溜め込まないことが大切なようですよ。

井尾 うぅ、よくわかりました。

大段 カードを使うと、自分の考え方の再確認ができますね。


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ワークショップでは、季節に合わせた薬膳スィーツを出すこともあるそう。写真は、ヨモギの蒸しパンと、豆乳&ごまで作った杏仁豆腐。「ヨモギは、温めて女性の経絡の流れを良くして、血流を良くし、冷えや生理痛を改善する効果が」(藤巻さん)


私たちは、もっと自分を労ろう

井尾 アニマルメディスンカードがあったり、養生の知恵があったり。いろいろなものがありますが、漢方も含めて全部、自分を内観するツールなんですね。

藤巻 はい。漢方が万能ということではなく、何を取り入れてもいいと思うんです。結局、こころとからだの声を聞くために、どんな方法を使うかということ。フラワーエッセンスでも、アーユルヴェーダでも、自分にピンとくるものを選ぶのでいいと思います。

大段 そこで藤巻さんが漢方を選んだのはなぜですか?

藤巻 漢方は、検査機器がない時代、実際の経験からできた理論なので、日常で自分のこころとからだのバランスをみたり、その人本来の力(自然治癒力)をサポートしたり、病気になりにくい体づくりに役立つからです。現代は、イヤでも外に向かわざるを得ない時代。なので、いかに自分の中とつながるかが大切。

大段 お年ごろ女子はとくに、自分で考える以上に、意識的に自分を労ることを大切にしたいですね。

藤巻 そうです! お風呂も、栓をしなければお湯は流れていくだけですよね。それと同じで、自分の考え方のクセを止めることも大切なんです。どんなにいい食べ物、漢方薬を取り入れても、ダダ漏れになってしまいますから。

井尾 本当に(しみじみ)。そうしないと、また交感神経がオンになって……。

藤巻 交感神経が優位になっている時は、頭の中のおしゃべりの方のボリュームが大きくて、からだの声が聞こえなくなります。大音量で音楽をかけているところで、ヒソヒソ声を聴くようなもの。からだからの声を聞かないと私たちは止まることもできなくて、「疲れた」っていう感覚すらわからず、パタンと倒れるまでやってしまうんですよ。


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藤巻さんがカウンセリングで使用する、体質を説明するシート。「その人の体質、不足している要素は何かなど、個別のカルテを作成します」(藤巻さん)


「休まないとダメですねぇ」「本当ですねぇ」と、肝に銘じながら帰途についた私たち。


大段
 今日のランチ、からだにいいものにしませんか。

井尾 賛成です。あっ、あそこのカフェ、グルテンフリーのパスタがあるみたいですよ!

2人 行ってみましょう!

 

……そんな私たちの養生の道は、まだまだ続きそうなのでした。

 

*国際中医師…中国政府の外郭団体「世界中医薬学会連合会」が「中医学の専門家」として認定した国際資格のこと。


▼Profile
大段まちこ
フォトグラファー。かわいいもの、雑貨、ファッションなどをテーマに女性誌やライフスタイル誌で活躍。
井尾淳子
フリー編集者。子育て雑誌の編集経験を経て、現在は書籍、Webコンテンツなどの編集、執筆を中心に活動。

 

Writer's Profile
藤巻 祥乃

薬を売らない薬剤師、国際中医師。大学卒業後、製薬会社で医薬品の臨床開発に携わっている中、自身の卵巣嚢腫や子宮内膜症の治療を通じて中医学と出会う。その素晴らしさや必要性を痛感し、北京中医薬大学日本校に通って国際中医師を取得。著名な漢方薬局で8年間、漢方カウンセリングを行う中で、「薬に頼るだけでなく、日々の養生や心のケアをもっと大切に扱うことを伝えたい」と感じ、2014年から薬を売らない薬剤師として、個人セッションやセミナー講師、漢方塾ワークショップなどの活動を開始。その人自身が持つ本来の「素」を照らすことで、本来の自分に戻り、健康で美しく幸せに暮らすことを多くの人に伝えている。
http://suterasu.com/


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