vol.23 もっと「花」と仲良くしたい!

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2019.07.17

「年齢を重ねると、女の人はこころもからだも、いろいろありますよねぇ」。
フォトグラファー・大段まちこと、フリー編集者・井尾淳子、「お年ごろ」を迎える2人が「こころとからだ」を元気にする浄化スポットを訪ねます。

 慌ただしい日々を過ごしていると、とかく気持ちは殺伐としてくるもの。そんな時、フツフツと湧いてくるのは、「あぁ、部屋にキレイなお花を飾りたい……」という願望なのですが! でも、「こんな散らかった部屋に飾ってもなぁ」とか、「センス良く生けられないしなぁ」とか、結局手を出さずじまいな私。お年ごろなみなさんは、いかがでしょう? 


こんな可愛らしいお花に囲まれて暮らせたら……。それだけで、女性ホルモンのバランスが整いそうです!


大段さんの提案で訪れた先は……?

「そんなイオさんのために、お花の伝道師に会いに行きましょう(笑)」と、大段さん。魅力的な提案に、今回もわくわく! さて、お花の伝道師とは一体!?


その正体は、フラワースタイリストの平井かずみさんです! ご本人も、お花のように可愛らしい〜。今回は、平井さんの新しいアトリエにおじゃまさせていただきました。


大段
 かずみーる先生、今日はよろしくお願いいたします。

平井 こちらこそ、よろしくお願いします。まっち先輩。

井尾 いつも、そんなふうに呼び合っているんですね(笑)。お2人は、お花と料理のとっても美しい本も出版されていますよね〜。

大段 はい。平井さんと私、料理家の渡辺有子さんと、3人で作った本ですー。


『花と料理 おいしい、いとしい、365日』(リトルモア/2484円〈税込〉)。著者はフォトグラファーの大段まちこさん、フラワースタイリストの平井かずみさん、料理家の渡辺有子さん。季節の料理、花や植物が、1日1ページ、365日に渡ってつづられている美しい一冊です。


平井 ご紹介ありがとうございます。涙なくしては語れない、私たちの大切な一冊です。

井尾 そ、そうなんですね。気になる制作秘話についても、後ほど!

大段 ですね。早速、本題を(笑)。


まずは、「モノづきあい」から

井尾 お聞きしたいのは「基本のキ」みたいなことばかりで、お恥ずかしい限りなんですが……。

平井 いえいえ。なんでも聞いてください〜。

井尾 どうしたらもっと自然に、花を暮らしに取り入れられるものなのかな、と。花屋さんでステキなお花を見ても、「うちには飾る花器がないし〜」って、いつもあきらめて帰るんです。

大段 そういえばイオさんとお花屋さんに行った時、そうでしたね。

平井 なるほど。では、まず身近な暮らしの道具を花器に見立ててみましょう。じつは暮らしのモノって、なんでも花器代わりになるんですよ。

井尾 そうなんですか?


「たとえば……」と、お花の茎を短く落とす平井さん。すると、シンプルなガラスのボウルやコップが、素敵な花器に早変わり。


大段 あら、可愛らしくて素敵になりましたね。

平井 なんでもないコップや片口の器などを、花器に見立ててみてください。そういうところから始めると、花を飾ることが楽しくなっていきますよ。

井尾 「見立てる」っていう発想自体が、そもそもなかったかも! 花器は花器、コップはコップみたいな……。

平井 モノってね、用途がいろんなものに広がるほど、仲良くなれるんですよ。

大段 モノとも仲良く。名言です。

平井 (笑)。人づきあいのように、「モノづきあい」っていうのもあります。そして「花づきあい」も、いかに花と仲良くなるかっていうことだと思うんですよ。

2人 なるほどーー!(感動)


あまり難しく考えず、まずは身近な暮らしの道具に生けてみるのが第一歩。


そしていよいよ、「花づきあい」

平井 主宰している教室でも、「お花を飾るのがうまく出来ない」って第一声が多いんですね。でも人づきあいに置き換えたら、初対面の人とうまく接するのって、誰でも難しいじゃないですか。

井尾 お花とのつきあいも、それと同じかぁ。

平井 そうですよ。まだつきあってもいないお花を「難しい」って思い込むのは、もったいないですよね。

大段 お花と仲良くするって思えば、少しハードルが下がりますね。


ピッチャーに入れただけで、こんなに可愛くなるのはなぜでしょう!?「これに飾ってみたら素敵かも!という、遊び心と妄想力が大事です(笑)」(平井さん)


大切なのは「ありのままの姿」

井尾 お花って、「センス良く飾らねば!」っていう、強迫観念?みたいなものがあるんですけど……。

大段 私は、そこまではないですね。

井尾 私の場合、考えすぎなのかも。

平井 「センスがないから」とおっしゃる生徒さんは少なくないですよ。みなさん、センスの話をしすぎる傾向があるというか。でもね、お花って何千回生けても、ありのままに咲いている姿ほど可愛く生けることなんて出来ないんですよ。

大段 深い。つまり自然にある以上には、ってことですね。

平井 そうです。結局、自分が花をどうこうするのではなくて、ありのままの花の姿をそのまま移し替えているだけなので。


「たとえば、背の高いものは、背の高い器にスッと生けてあげたらキレイですよね」と平井さん。うーん、本当です!


平井 お花、人、モノ。なんでも、「ありのままの姿を知る」ことは、とっても大事。そこに、すべてのヒントがあると思います。

井尾 なるほどー。今、すっごく大事なことを教わった気が!

平井 花合わせも、「何色と何色を合わせたらいいのかしら」と悩む前に、それぞれの季節に咲く花のトーンをイメージしてみてください。強い夏の光の中では、原色に近い濃い色の花がたくさん咲くし、薄曇りの梅雨時は紫とかブルーとか。旬のものを食べるように、旬の草花を合わせてあげたら、何色のトーンが混ざっていても大丈夫ですから。

大段 旬の食材を選ぶ感覚を思い出せばいいんですね。

平井 そう。要はセンスじゃなく、相手のことを知っているかどうか。あじさいの足元にどんな花が咲いているかを知るだけで、もう花合わせは簡単ですよね。


植物は「無償の愛」

平井 華道とか茶道とか、「道」といわれているものがあると、「習わなければ!」って思ってしまうところはありますよね。でもあまりガチガチに捉えすぎずに、旬の花を、身近な暮らしの道具に合わせてみる、ということから始めるのでもいいんじゃないかな。

井尾 「上手にしなきゃ!」と、センスにびびりすぎなんですね。

大段 (笑)。お花ってステキなものだから、余計そうなるのかも?

平井 でもね、植物って、無償の愛なんですよ。

井尾 メモメモ!

大段 ほほー、無償の愛……。


この可憐さは、まさに無償の愛!「今日は、まっち先輩の好きそうな、ラブリーな色のお花を用意しました〜」(平井さん)


平井 お花や植物は、ただただ美しかったり、可愛かったりする姿を見せてくれているだけで、何も私たちに求めてはいないじゃないですか。

2人 たしかに!

井尾 それを「センス良く飾らなきゃ」「オシャレにしなきゃ」って思うのは、お花とのコミュニケーションが一方通行?

平井 そうです〜。無償の愛を与えてくれる存在に対して、「ああせねば、こうせねば」っていうのは、ちょっとToo Muchですよね。ただありがとうって、それだけでいいと思うんですよね。

大段 このアトリエにある無償の愛たち、連れて帰りたくなりました〜。


花を通じて気づく、大切なこと

井尾 平井さんのお話を伺っていたら、私も「花を飾りたい!」って、強烈に思いました。

平井・大段 よかった〜(笑)。

井尾 あとひとつ、質問なんですが……。せっかくのお花が長持ちするには、どんな場所に飾るのがポイントですか?

平井 花は「水と光と風で出来ている」って、いつも思うんです。普段は換気をしなければ、家の中に風ってあまり吹かないですよね。でも、花を生けただけで、そこに風が流れる気がするんです。水を吸って、光合成をしても、そこに風がなければ受粉もできない。だから、締め切ったところに花を飾ると絶対にダメになっちゃう。

井尾 じゃあやっぱり、お家に飾る時も、風通しの良いところに。


花を飾る時、大切なのは「風の流れ」。「空気が循環している場所に飾るのがポイントです」(平井さん)


平井 それもね、「ここに飾らねば!」と頭で考えるのではなくて、「もし自分がそこにいたら心地良いな」というところに飾ってあげたら、お花も心地良いはず。

大段 なるほど。それを思った時、「あ、換気してあげなきゃ」って、花を通しての気づきがありますね。

平井 絶対ありますよね。相手のことを思うだけで、ちょっと変わると思います。それが花であっても、モノであっても、人であってもね。

井尾 自分中心の暮らしばかりしていると、エアコンの効いた室内に閉じこもってた……とかありそうです。

平井 あと、自分のことって構わないんですよね。

2人 たしかに!

平井 だって、自分のことを構っていたら、マメに換気しますもの。あと、花を生けると部屋がキレイになります。なぜなら、マメに花のまわりの拭き掃除をするようになるから。名付けて「ついでの花掃除」。これはもう、初めて出版した書籍の時から提唱しております(笑)。

井尾 散らかった家に花を買ってきたら、まずホコリを払って、キレイにしたいと思いますもんね〜。

平井 そう。花を飾ることで、自分に優しくなれるんですよ。すべてね、自分に返ってきます。

大段 かずみーる先生の名言がまた!(笑)

平井 みなさん、普段の生活の忙しさや人間関係で、ガチガチになってしまいがちなので、そこをいかに、花を通じて緩ませていくかですよね。「センスが」とか、「上手にできない」とかいう考えに陥りがちですけど、大事なのはそこじゃないんです。

井尾 花と仲良くするために足りなかったこと、少しずつわかってきました! 平井さんのお話が深すぎ&名言多すぎだったので、お2人の本の話の続きは後篇でぜひ!

2人 ぜひ〜(笑)。


…ということで、次回は『花と料理 おいしい、いとしい、365日 』制作秘話&、私たちが平井さんセレクトのお花で、ブーケづくりを体験します! お楽しみに!(お年ごろのみなさまも、ぜひ家にお花を飾りましょう〜)

 


▼Profile

大段まちこ
フォトグラファー。可愛いもの、雑貨、ファッションなどをテーマに女性誌やライフスタイル誌で活躍。
井尾淳子
フリー編集者。子育て雑誌の編集経験を経て、現在は書籍、Webコンテンツなどの編集、執筆を中心に活動。

 

Writer's Profile
平井 かずみ

フラワースタイリストikanika 主宰。
草花がもっと身近に感じられるような「日常花」の提案をしている。
東京・自由が丘の「café イカニカ」を拠点に、「花の会」や「リース教室」を開催。
また、雑誌やCMなど広告でのスタイリングのほか、花にまつわる連載も多数。
著書には『フラワースタイリングブック』(河出書房新社)『ブーケとリース』(主婦と友社)他。
http://ikanika.com


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